「中学生になってからの成長矯正はもう遅い?」「いきなりワイヤー矯正しかないの?」 そんな不安を抱える親御さんは多いのではないでしょうか。
現在、中学1年生の娘を持つ歯科医の私が、あえて今から「骨」にアプローチする顎顔面矯正(Ⅰ期矯正)を選択しました。
今回はシリーズ第1回。プロの視点での「決断」から「精密検査」、そして確定した「診断」と「初めての装置」までをリアルにレポートします。
1. 歯科医ママが「まだ行ける!」と直感した3つの判断理由
一般的に「低年齢の方が効果が高い」とされる顎顔面矯正。中学生でのスタートは、いわば「滑り込み」のタイミングです。それでも私が主観的に「まだ骨格から変えられる余地がある」と判断したポイントは3つあります。
- 歯の年齢(歯牙年齢)が若い: 実年齢は中1ですが、まだ乳歯が残っており、一番奥の歯(12歳臼歯)が生え揃っていなかったこと。
- 成長のピークがまだ来ていない: 身長の伸びしろがあり、骨の成長を利用できる可能性が高いと判断しました。
- 本人のやる気と覚悟: もし装置だけで広がらない場合は、外科的な補助(手術)も視野に入れる。その可能性を娘に話し、親子で「やる」と決めたことが最大の決め手でした。
2. 納得いくまで調べ尽くす!精密な「検査メニュー」
「なんとなく」で治療を進めないのが医療の鉄則。娘の骨格と歯の現状を客観的に把握するため、まずは徹底した診査を行いました。
- レントゲン撮影(数枚): 頭の骨、顎の骨、歯列(歯並び)などの構造を正確に測定し分析。まだ埋まっている歯の種などを確認(過剰歯や親知らずなど)。気道の広さも確認。
- 治療前診断用模型の作成: 上下の型取りをして、模型上で立体的な顎の形を確認。顎の横幅をミリ単位で計測。
- 口腔内写真撮影:今の噛み合わせ、歯の並びなどを記録。
- 顔貌・全身写真撮影:顔のバランスや姿勢など、全身との関わりも記録。
3. 判明した「診断」と、決まった「治療方針」
検査の結果、私たちが向き合うべき具体的な課題が明確になりました。
- 診断名:上下顎骨列成長(じょうがくこつれつせいちょう)・叢生(そうせい)
簡単に言うと、「上顎の器が小さすぎて、歯が並びきらずにガタガタ(叢生)になっている」という状態です。(それに伴い下顎の歯もガタガタ)

【歯科医ママの解説】
娘の歯がガタガタなのは、単純に「歯が並ぶためのスペース」が足りないからです。
この狭い顎のまま無理に歯を並べようとしても、スペースがないため歯の土台に無理な力がかかり、将来的に歯ぐきが痩せやすくなるなどの影響が出ることもあります。
「これから先、何十年も付き合っていく歯だからこそ、できるだけ負担の少ない環境を整えてあげたい」
そのために、まずは「急速拡大装置」で土台を正しい大きさに広げ、歯がのびのびと並べる場所を作ることからスタートしました。
4. 上顎の装置「急速拡大装置」の仕組み
土台を広げるために選んだのが「急速拡大装置」です。
- 装置の構造: 中央のネジを回すことで左右にゆっくりと圧をかけ、上顎の骨(基底骨)から広げていきます。
- 期待できる変化: 「土台を広げて、歯が並ぶための正しいスペースを作り出す」のが目的。前歯に隙間が空いてきたら、骨がしっかり動いている証拠です!

5. 装着までの流れと、当日のリアルな反応
装置装着までは、スピード感が重要です。 「青いゴムで隙間を作る(セパレーター)」⇨「型取り」⇨「出来上がったらすぐ装着」という流れで進みました。

【装着当日の娘の様子】
- 発音の壁:舌を上顎につける音(タ行、ラ行など)が喋りにくい!
- 飲み込みの違和感:口の中が装置で狭くなるため、飲み込むコツを掴むまで少し時間がかかりそうです。
- ネジを回した時の感覚:痛みというより「グッと圧がかかる感じ」。
実際に装置がついた姿を見て、改めて「娘の上顎、やっぱり狭かったんだな……」と実感。ここからが本当のスタートです。
6.診察を迷っているお母さんたちへ 〜親としての後悔をなくすために〜

「もう遅いかも」「子供が嫌がるかも」と、一歩踏み出せずにいる方も多いと思います。特に思春期の子と向き合うのは簡単なことではありませんよね。
実際、私は患者さんのお母さんからよくこんな相談をされます。
「反抗期で言うことを聞かないから、管理できる自信がない」
そんな時、私は診察室でお母さん抜きでお子さんとまず話をします。 どうして治療が必要なのか。目標は何なのか。どれくらい期間がかかるのか。嘘はつかず、真剣に一人の人間として話すと、意外としっかり聞いてくれるんです。お母さんには言いにくい本音を話してくれることもあります。
中学生は、心も体も成長の真っ最中。素直になれないだけで、本当は甘えたい部分もある……。 だからこそ、私は「歯並びを治すことが、あなたの将来の健康と自信に繋がるんだよ」という親心を交えながら、しっかりコミュニケーションをとって励ますことを大切にしています。
治療の成功の鍵は、患者さん本人の協力です。 だからこそ、一人で悩まずに一度専門医に相談して、お子さんの「今の伸びしろ」を確認してあげてください。
「今の状態を正しく知ること」に、遅すぎることはありません。 もし時期が合わなければ、その時にまた別の方法を考えればいい。でも、今しかできないアプローチが見つかるかもしれないのです。
親として「あの時やっておけば!!」という後悔をなくすために。 そして何より、わが子の将来のために。
……と言いつつ、私はある意味、自分の娘の治療が1番難しいと感じています(汗)
皆さんも、一緒に頑張りましょう!!!
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